Running Writer

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“走る”フリーライター・三河の、ランニングブログです。日々のトレーニングやレースレポートなどを、ランニングを楽しむための情報を中心に発信中。仕事や家族などその他の情報は、別ブログ『いいでしょ?僕の人生』で綴っています。


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10月も終盤となり、週末になるとSNSではマラソン大会に出場する方々の投稿が増えました。その反面、仕事においては年末に向けて追い込みを掛けている方も多いでしょう。私も少しずつですが、来年に向けていろいろ動き始めています。そもそも“走りながら考える”タイプなので、あまりイメージ通りにはいかないんですけどね。

今日は、そんな仕事に関するお話を。現在私は、主に以下3つの顔を持って仕事しています。
  1. ナレッジ・リンクス株式会社の代表
  2. “走る”フリーライター
  3. 中学校の陸上部コーチ
 1・2について気になる方にはリンク先のホームページをご覧頂くとして、今日は3の『中学校の陸上部コーチ』について。打合せなどでも結構「部活!?」なんて驚かれるんですが、自分なりの考えや思いというやつを、ここでちょっとまとめてみます。

■なぜ部活指導しようと思ったのか?
現在私がコーチを務めているのは、東京都葛飾区内にある区立中学校。正式には、『部活動地域技術指導者』として区から委嘱を受けている形です。主な役割は、その名の通り生徒たちに対する“技術指導”となります。

陸上競技との付き合いは長く、中学校から大学2年まで。私の人生において、一番長く取り組んでいることではないでしょうか。実は以下のように、ちょっと変わった競技歴を持っています。
  • 中学校:駅伝、800m、1500m、4×100mR
  • 高校:800m、3000mSC
  • 大学:十種競技
ちなみに高校卒業後は1年浪人し、競技から離れました。今思えば、なぜそんな中で大学でも陸上部に入ったのか...自分でも不思議です。引退後は長くブランクが開いたのですが、ご存知の通り現在はマラソンやトライアスロンを競技しています。

部活指導を始めたのは2013年4月から。今年で3年目になりました。では、なぜ部活指導を始めたのか。一番の理由は、自分がブランクを経て再び走り始めたことで、

「走るって、こんなに楽しいんだ!」

と心から感じたためです。

よく、学生時代に陸上競技に取り組んでいた人は、大人になってから走らないと言われます。先日、大学の先輩に会ったのですが、

「学生時代にあれだけ必死に走っていると、今さら走る気になれない」

と言っていました。確かに、私の周囲でも“元陸上部”は多くありません。燃え尽きたのかもしれないですし、もっと違う要素があるのかもしれません。私はむしろ学生時代より楽しく走れているのですが、それは私が学生時代、部活動であるが故にどこか義務感を持って走っていたからではないでしょうか。

今は走ることが好きで、だから毎日のように走っています。いつ、どこを、どのように走ろうと自由。

「走らなければいけない」
「練習しなければいけない」


のではなく、

「走りたいから走る」

と言えばよいでしょうか。だから私は、学生にこそ“走る楽しみ”を伝えたいと思ったのです。さらに指導に当たって、私には2つのアドバンテージがあると考えていました。それは、
  1. 生徒と一緒に走れる(=見せられる)だけの走力がある
  2. 十種競技の経験から、ほぼすべての競技を教えられる
というもの。しかし年齢を重ねていけば、おそらく1は難しくなってしまいます。そのため「まず動いてみよう」と思い立ち、指導先を探すことにしました。

■指導先の学校を見つけるまで
実は部活指導を始める前、地元葛飾の小・中学生を対象としたランニング教室を開催していました。近所の公園を活動拠点として週1〜2回。最初は順調だったのですが、残念ながら大きくなる要望(開催回数など)に応えきれず、1年程で再開未定の休止となっています。

しかし、生き生きと走り、成長していく子どもたちの姿は素晴らしいもの。何かしらの形で関わり続けたいと考えた結果、「学校の部活はどうだろう」と考えたのです。私自身もそうだったのですが、特に中学校までは指導者不在という学校が少なくありません。

そこで、まずは通えそうな範囲にある中学校をピックアップ!

メールやFAXを駆使して、手作りの資料を送りました。自分の経歴や指導方針などを書いたでしょうか。10校ほど送ってレスポンスを待ちましたが、そう簡単にはいきません。あまりに反応がないので、いつしか諦めムードに。とはいえ遠方まで行くのは厳しいため、アプローチ先も広げられず活動はストップしてしまいました。

しかし半年ほど経ったある日。

ラーメン屋で食事しようとした瞬間、見知らぬ番号から電話が入ります。その電話主こそ、現在の指導先である中学校でした。

「◯◯中学校さんから聞いて電話しました。ちょうど今年春から陸上部を指導できる方を探さなければならないのですが、いかがですか?」

実は自宅から5km以上離れていたため、アプローチ先に含まれていなかった中学校。しかしメールを送っていた別の学校から話を聞き、連絡してきてくれたと言うのです。もちろん答えはその場で即決。動いてみるものですね...指導できる中学校が見つかりました。

■コーチとして心がけていること
部活動の時間は約2時間。都内の学校はどこでも同じですが、校庭はあまり広くありません。他の部活動と半分ずつということが多く、トレーニングに十分とはいえないでしょう。しかしそれでも、できることは山程あります。

幸いにも江戸川が近いので、週末は河川敷で坂道などを使ったトレーニング。校庭が狭くても、外周は400mあります。さらに校内に、200mほどのクロスカントリーコースも見つけました。最初の1年は「部活指導に慣れる」と共に、下準備に多くを費やしたと思います。

指導内容というものは、教える人によって大きく違います。なぜなら、その人それぞれにとって理論があるからです。これは私も同じこと。幸か不幸かは未来にしか分かりませんが、生徒たちは私の理論にもとづいてトレーニングすることになります。これは責任重大でしょう。

具体的な内容までは伏せますが、まずウォーミングアップに全種目『ドリル』(=基礎運動)を取り入れました。もちろん、短距離と中長距離では内容が違います。そして靴を脱がせ、本練習までは種目を問わず裸足で走らせています。負荷の高い筋力トレーニングではなく、体幹トレーニングを採用。スラックラインを何度か持参してやってもらいましたが、本当に楽しそうに行ってくれます。

私にできることは、自分の経験・知識から伝えられるすべてを教えること。そのうえで、4つの点を常に心がけています。

1)意味を理解してもらう
私がコーチとして入ることで、毎日のトレーニングは大きく変わったことでしょう。例えばいきなり「裸足で走ろう!」なんて、きっと驚いたはずです。しかしもちろん、そうした指導にもすべて意味があります。だからこそ、できるだけその意味を理解してもらうように心がけています。
もちろん小難しい話をしても、頭の中がこんがらがってしまうでしょう。そうならないように、できるだけ分かりやすく。言葉で説明できないときは、実際にやりながら教えるようにします。スポーツに限らず、誰だって意味もわからず指示されるのはイヤなはずですから。

2)技術指導に徹する
私は、すべての生徒にトレーニングを強制しようとは思っていません。中学生という難しい時期、どうしてもサボったり、遊んだりしてしまう生徒がいます。しかし私は先生ではありません。あまりに行き過ぎた場合には一喝して帰らせる...なんてケースもありますが、あくまで技術指導に徹するようにしています。一声は掛けますが、やる気がないのに強制されても力になるわけがありませんから。
その代わり、指導は近い距離でしっかりと。毎日指導できるわけではないので、私がいないときも正しい動きができるよう集中します。そのため、私が行く日はあまり走りこまず、細かな技術面の確認が中心。何かに気づいたり、分かったという実感を得ると、黙っていても生徒たちは嬉しそうに走ってくれます。何か1つでも成長・進歩を得てもらうことが、私にとって最大の役割です。

3)一緒に走る
先に挙げた通り、まだ私には生徒たちと一緒に走れるだけの走力があります。トップ選手と比べれば負けてしまいますが、トレーニングなら問題ありません。ですから、できるだけ一緒に走るようにしています。口で説明・指導するのには限界がありますが、「見せる」ことができれば、生徒たちはどんどん吸収してくれるものです。
中長距離に並走すれば、その場でフォームを指摘して改善できるでしょう。短距離や跳躍はまず生徒の動きを真似て見せ、その上で参考にしてもらいたい正しい動きを見せます。中には「このオッサンは、本当にちゃんと走れるのかよ?」と懐疑的な生徒もいますが、ビシッと走って見せれば素直になってくれるものです。特に初めて陸上競技を始める人も多い中学生においては、この「一緒に走れる」ということが、指導において非常に大切だと実感しています。

4)自分を見せる
先生ではなく外部コーチだからこそ、より生徒にとって身近な存在でありたい。そんために、自分自身についてできるだけオープンにしています。大会の応援で子どもを連れて行ったり、そのとき持っているランニングアイテムについて紹介したり。お陰さまで恋愛相談してくれる生徒や、今でもLINEで連絡をくれる卒業生がいます。
心を開いてもらうには、まず自分を見せなければいけません。そしてお互いに心を開き合うからこそ、始動時にも真剣に向き合えるのではないでしょうか。いつもフレンドリーに接していても、思いっきり叱ることだってあります。それでも本気で謝り、改めてちゃんと競技に取り組んでくれる。そういう“関係性”は、単純に指導のみでは構築できないと思うのです。

■おわりに
ちょっと偉そうなことを書きましたが、あくまでこれまでの経緯、そして“心がけている”ことに過ぎません。自分でも全然できていないと思うし、コーチとして半人前も良いところ。私もまた、生徒たちと一緒に成長しているのだと思います。

部活動地域技術指導者は、学内(=先生)に指導できる人がいない部活に対して、外部から指導者を招き入れられるというもの。特に公立校では先生の異動が多いため、陸上競技経験のある先生が来れば私はおそらく指導に当たれなくなるでしょう。しかし、そのときはそのとき。改めて、自分でランニング教室を開いてみるのも良いかもしれません。

年齢問わず、少しでも多くの人々が“走る”ことを楽しめるように。これからも多方面からアプローチし、取り組んでいきます。
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