11月24日(金)~27日(月)の3日間にわたって開催された、『2023沖縄本島1周サバイバルラン』に出場しました。走る距離は390km、制限時間は72時間という超過酷なレースです。過去にも何度かチャレンジしたことがありますが、ことごとくDNF。正直、「もう無理だ」と諦めていた大会です。しかし、年初に走った『2023沖縄58ラン』を完走したことで、同大会への優先出場権を獲得。せっかくなので、これが最後という気持ちでチャレンジすることにしました。
参考:沖縄なのに寒い!「2023沖縄58ラン」で100mileを走破
結論から言うと、ついに完走を果たすことができました。しかし、その道のりは想像を絶しており、今思い出しても「よく完走できたな」と思うほどです。まさに“サバイバル”だった本大会について、時系列でご紹介させて頂きます。
とはいえ、出場するからには最高の結果を。これまで何度もDNFを繰り返してきた大会ですし、その厳しさは十分に理解しています。そこで、今回設定した目標は「止められるまで進み続ける」こと。どれだけ脚が痛くなろうと、どれだけ眠くなろうと、どんなトラブルが起きようとも自分自身に辞める理由を探さない。完走できるか否かは、その結果に過ぎないと考えました。もちろん、順位だって関係ありませんので、誰に抜かれても自分との戦いに徹するだけです。
それでも、もちろん完走したい気持ちはあります。大切なのは、そのために今の自分にとって最高のコンディションで大会に臨むこと。そして、できる限りの備えを整えておくこと。そのうえで、具体的に以下のような準備を行いました。
11/22は、事前に予約しておいた鍼治療で『POINTはり・きゅう治療院』へ。ルート治療を呼ばれるもので、初めて受けました。写真を見ると驚かれるかもしれませんが、終えれば身体がスッキリ!チクッとはするものの、施術中もたいした痛みはありません。
そして前日となる11/23は、地元ランナーの皆さんと朝ランをご一緒させて頂きました。ゆっくり走った約7km、皆さんとの会話が楽しい時間です。一人だとペースを上げて走りがちなので、本番に向けた確認のも良かったと思います。さらに夜は知り合いと食事に行き、ホテルで翌日の準備を整えてから就寝。ちなみにコンディショニングの観点から、宿泊先は大浴場のある場所を選びました。
そのまま会場まで歩き、10:30少し前に現地へ到着。すでに受付が始まっており、たくさんのランナーがいらっしゃいました。久しぶりに会う方も多く、ちょっとした同窓会気分です。荷物を広げて最終チェック、準備を整えたらブリーフィング。和やかな雰囲気ながら、とても緊張感がありました。
荷物を預けると外で記念撮影を終え、遂にスタートです。道幅が狭いこともあり、15名前後ずつ2分間隔で走り始めます。先に行くランナーとは、ゴールまで会うことはないかもしれません。果たして、再びこの場所に“自分の足で”戻れるのか。何ともいえない感情が心に溢れてきました。
これまでの沖サバは、沖縄本島を時計回りに走っていました。しかし、今回は初めて“逆回り”のコース。これに伴い、制限時間も厳しめになっています。そのため、全体を通してある程度はしっかり走る必要があり、ペースコントロールも重要でした。
実は夏場後半から、色んな事情があってあまり走る時間が取れず。スピードこそある程度は戻ったものの、休んだ期間が長かったため持久力には不安がありました。本来ならロング走も何回か入れて臨むべきなのですが、今回は長くて15~20kmほど。そのため、前半で一定の貯金を作り、後半はそれを切り崩しながらも“動ける”状態を維持してゴールを目指す戦略に。幸いにも周りに同じようなペースで走り出した選手がチラホラいたので、会話しながら一緒に走らせてもらいました。
第1チェックポイントは49.5km地点にある与那古浜公園。制限時間は6時間30分でしたが、1時間以上の余裕を持って5時間15分で到着しました。身体の動きも悪くなく、ペースはほぼ予定通り。沖縄そばを食べさせて頂き、明るいうちにできるだけ進むべく短めの休憩で再び走り出します。
ほどなくして周囲が暗くなり、やがて夜が訪れます。本大会、最初のオーバーナイトランです。選手もバラけはじめ、一人で走ることが多くなりました。チェックポイント間が遠いので、自動販売機やコンビニなどで補給しながら走ります。次のチェックポイントで3時間の余裕を持ちたかったので、私はコンビニをあまり使わないようにしました。
たまたまトイレに入ったコンビニで、何名かのランナーと出会います。そのまま、自然と一緒に走るようになりました。だいぶ疲労が溜まり始めていたので誰かのペースに合わせるのは大変なのですが、夜ということもあり、一人黙々と走るよりはマシ。会話していると気持ちが楽になります。
やがて到着した海中道路。海の上にまっすぐに伸びた道路で、観光名所でもあります。遠くからでもそれと分かるイルミネーションにテンションも上がりますが、ここがなかなかの難所。ライトアップされているのは一部に過ぎず、あとは真っ暗な一本道。こちらを5km走るとエイドがあるのですが、なんと「チェックポイントはここじゃありません!」というトラップ。反対車線を3kmほど折り返した、「海の駅 あやはり館」が第2チェックポイントでした。暗くて海の見えないくらい道路を、ただ5km行って帰ってくるだけ…なかなかの苦行です。
とはいえ、こちらのチェックポイントは14時間制限のところ、10時間41分で通過できました。3時間強の余裕が持てたので、まさに予定通りです。92.5km地点ということで、ここからは少しずつペースが落ちるという見立て。1夜目は寝ずに走りたいので、ちょっと眠気を感じ始めたタイミングで高濃度カフェインサプリを飲んで進みました。お陰で目が覚め、そのまま走り続けて2日目の朝を迎えます。
この瞬間、ここが名護辺野古店だと勘違い。しかし、こちらは名護辺野古店から8kmほど先にある名護瀬嵩店でした。どうやら、ここ最近に新しくオープンしていたようです。異なる店舗だと気付いたときは、正直ゾッとしました。眠気なのか疲れなのか、どうやら頭が少しずつ働かなくなってきていたようです。
おにぎりと飲み物を購入し、食べながら先へ進みます。立ち止まって休みながら食事するのも良いですが、少しでも時間を有効活用して進みたいですし、しっかり休むと動き出しが悪くなることを懸念しました。あとは、なんとなく制限時間などに対する焦りがあったのかもしれません。そして、166.5km地点にある第3チェックポイント「サンライズひがし」に到着したのは2日目の午前中。24時間半の制限時間を21時間51分で到着しました。やはり、すでに序盤で造った貯金を切り崩し始めています。
ここからは、激しいアップダウンが続くエリアに入ります。もちろん周囲にお店などはなく、夜になれば街灯すらない真っ暗な道。しかし、だいぶ疲労が溜まっており、足のさまざまな筋肉が痛みます。特に前腿が悲鳴を上げており、急な坂道は走れば筋肉がちぎれるのではないかと思うほど。無理に走って後半動けなくなっては本末転倒なので、あくまで「最後まで動き続けられる」ことを念頭に置いてペースを作ります。この頃から、一緒に走っていた2人のランナーについていけなくなり、しかし合わせて待ってくれることを申し訳なく感じ始めました。「先に行ってください」と伝えても、せっかくだからという反応。嬉しい一方、少し気持ちの面でプレッシャーになります。
何度も繰り返すアップダウン。どれだけ登って下るのか、身体だけでなく精神的にも疲労します。58ランで折り返し地点だった奥に到着することには、真っ暗闇になっていました。すでに下り坂は走ることができず歩きがメイン。その間は一人旅になるのですが、途中で女性ランナーに追いつかれ、会話できたので少し元気が出ました。“人と話す”って、気持ちを保つうえでとても大切です。
224.5km地点にある第4チェックポイント・辺戸岬には32時間20分で到着。34時間制限でしたので、貯金は1時間40分に減りました。とはいえ、最後の36kmはすべて歩いても余裕なペース設定になっているので、まだ1時間以上あれば問題ありません。だいぶ足の痛みと疲れも重くなってきていたため、少し時間を取ってストレッチ&マッサージ。ご提供いただいた豚骨ラーメンが染み入りました。
辺戸岬を出てしばらくすると、自然と一緒に走っていたランナーと別れます。単純についていけなかっただけですが、待たずに進んでくれたので、寂しい気持ちはありつつ少し安心した自分がいました。後ろにも前にもランナーの姿はなくなり、完全なる一人旅となった2回目のオーバーナイトラン。たまに雨が降るので、持っていたシェルウェアを着たり脱いだりしながら体温調整。本大会中、昼間は暖かい(太陽が出ると暑い)のですが、夜は涼しくて雨風があると冷えるほどでした。歩いたり走ったり、時計を気にしつつも前だけを向いて進み続けますが、このまま順調に…というわけにはいきませんでした。
参考:沖縄なのに寒い!「2023沖縄58ラン」で100mileを走破
結論から言うと、ついに完走を果たすことができました。しかし、その道のりは想像を絶しており、今思い出しても「よく完走できたな」と思うほどです。まさに“サバイバル”だった本大会について、時系列でご紹介させて頂きます。
目標設定と事前の準備
実は今年の夏以降、色んな事情が重なって思うように走れていませんでした。先日40歳になりましたが、歳を取ると走力や体力は落ちやすく、かつ回復しにくい。沖縄本島1周サバイバルラン(以下、沖サバ)を目前に控えた状態で、スピードこそある程度は出せるようになったものの、長い距離を走るトレーニングまでは至らず。そのため、筋持久力に大きな課題を抱えていました。とはいえ、出場するからには最高の結果を。これまで何度もDNFを繰り返してきた大会ですし、その厳しさは十分に理解しています。そこで、今回設定した目標は「止められるまで進み続ける」こと。どれだけ脚が痛くなろうと、どれだけ眠くなろうと、どんなトラブルが起きようとも自分自身に辞める理由を探さない。完走できるか否かは、その結果に過ぎないと考えました。もちろん、順位だって関係ありませんので、誰に抜かれても自分との戦いに徹するだけです。
それでも、もちろん完走したい気持ちはあります。大切なのは、そのために今の自分にとって最高のコンディションで大会に臨むこと。そして、できる限りの備えを整えておくこと。そのうえで、具体的に以下のような準備を行いました。
①コンディショニング
セルフケアを徹底し、ほぼ毎日のマッサージとストレッチのほか、2週間前からマッサージにも通いました。HYPERFLUXでコンプレッション、Hypervoltで筋膜リリース、そしてESPURGEでの電気治療など。練習不足な状況で「もっと走っておかないと」という焦りはあったものの、以上に100%の力で臨めるようコンディションを整えることに集中しました。②カフェイン抜き
本大会の制限時間は72時間。途中で仮眠を取ることは可能ですが、あまり長く眠ればその分だけ走る時間が減ってしまいます。そのため、1~2晩目はできるだけ眠らずに走りたいと考えました。そこで行ったのが、1ヵ月前からのカフェイン抜き。つまり、カフェインの含まれる飲食物を摂取しないで過ごすということです。そのうえで、本番では高濃度のカフェインサプリを使用しました。以前の沖縄58ランでも同様で、すでに効果は検証済みです。③走り過ぎない
コンディショニングに繋がりますが、2週間前からは敢えて走る距離やペースを抑えました。いわゆる“調整”ですが、しっかり休息を設けながら計画的にトレーニングを実施。動き足りないと感じたら、走るのではなくスイミングなど他の運動に置き換えました。④できるだけ荷物を減らす
これは沖サバに限ったことではありませんが、とにかく持って走る荷物は最小限に。本大会はエイドが少なく、基本的には自給自足が原則となります。そのため、補給なども用意しなくてはいけませんが、最初から大量に持つ必要はありません。途中のコンビニや自動販売機などでの調達を原則として、スタート時点では以下のみを持ちました。- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- ヘッドランプ
- テールランプ
- カフェインサプリ
- 補給食(VESPA HYPER×4本、
- ドリンク250ml×2本(ソフトフラスク)
- 空のソフトフラスク
- シェルウェア
- ミニ財布(小銭メイン)
前入り~前日
大会は11/24からスタートでしたが、私が沖縄に到着したのは11/21の夜。勤労感謝の日があって連休となる方が多かったためか、航空券が驚くほど高かったため安い日程を選びました。もちろん暇にならないよう、現地で取材や打合せなどの仕事もゲット。沖縄の気候に慣れておくという意味でも、これは良かったと思います。ただ、ちょっとのんびり過ごしたため観光気分になり、レースモードに切り替えるのが大変でした。11/22は、事前に予約しておいた鍼治療で『POINTはり・きゅう治療院』へ。ルート治療を呼ばれるもので、初めて受けました。写真を見ると驚かれるかもしれませんが、終えれば身体がスッキリ!チクッとはするものの、施術中もたいした痛みはありません。
そして前日となる11/23は、地元ランナーの皆さんと朝ランをご一緒させて頂きました。ゆっくり走った約7km、皆さんとの会話が楽しい時間です。一人だとペースを上げて走りがちなので、本番に向けた確認のも良かったと思います。さらに夜は知り合いと食事に行き、ホテルで翌日の準備を整えてから就寝。ちなみにコンディショニングの観点から、宿泊先は大浴場のある場所を選びました。
1日目(11/24)|早めのペースで余裕を持たせる
いよいよ迎えた大会当日は8:30に起床して朝風呂で目覚まし。いつも朝食はあまり食べないのですが、この日は走るためのエネルギー補給としてしっかり食べました。当日入りで参加する知り合いと9:30にお店で合流。あれこれ準備や戦略などの話をして、少しずつスタートに向けてテンションを上げていきます。そのまま会場まで歩き、10:30少し前に現地へ到着。すでに受付が始まっており、たくさんのランナーがいらっしゃいました。久しぶりに会う方も多く、ちょっとした同窓会気分です。荷物を広げて最終チェック、準備を整えたらブリーフィング。和やかな雰囲気ながら、とても緊張感がありました。
荷物を預けると外で記念撮影を終え、遂にスタートです。道幅が狭いこともあり、15名前後ずつ2分間隔で走り始めます。先に行くランナーとは、ゴールまで会うことはないかもしれません。果たして、再びこの場所に“自分の足で”戻れるのか。何ともいえない感情が心に溢れてきました。
これまでの沖サバは、沖縄本島を時計回りに走っていました。しかし、今回は初めて“逆回り”のコース。これに伴い、制限時間も厳しめになっています。そのため、全体を通してある程度はしっかり走る必要があり、ペースコントロールも重要でした。
実は夏場後半から、色んな事情があってあまり走る時間が取れず。スピードこそある程度は戻ったものの、休んだ期間が長かったため持久力には不安がありました。本来ならロング走も何回か入れて臨むべきなのですが、今回は長くて15~20kmほど。そのため、前半で一定の貯金を作り、後半はそれを切り崩しながらも“動ける”状態を維持してゴールを目指す戦略に。幸いにも周りに同じようなペースで走り出した選手がチラホラいたので、会話しながら一緒に走らせてもらいました。
第1チェックポイントは49.5km地点にある与那古浜公園。制限時間は6時間30分でしたが、1時間以上の余裕を持って5時間15分で到着しました。身体の動きも悪くなく、ペースはほぼ予定通り。沖縄そばを食べさせて頂き、明るいうちにできるだけ進むべく短めの休憩で再び走り出します。
ほどなくして周囲が暗くなり、やがて夜が訪れます。本大会、最初のオーバーナイトランです。選手もバラけはじめ、一人で走ることが多くなりました。チェックポイント間が遠いので、自動販売機やコンビニなどで補給しながら走ります。次のチェックポイントで3時間の余裕を持ちたかったので、私はコンビニをあまり使わないようにしました。
たまたまトイレに入ったコンビニで、何名かのランナーと出会います。そのまま、自然と一緒に走るようになりました。だいぶ疲労が溜まり始めていたので誰かのペースに合わせるのは大変なのですが、夜ということもあり、一人黙々と走るよりはマシ。会話していると気持ちが楽になります。
やがて到着した海中道路。海の上にまっすぐに伸びた道路で、観光名所でもあります。遠くからでもそれと分かるイルミネーションにテンションも上がりますが、ここがなかなかの難所。ライトアップされているのは一部に過ぎず、あとは真っ暗な一本道。こちらを5km走るとエイドがあるのですが、なんと「チェックポイントはここじゃありません!」というトラップ。反対車線を3kmほど折り返した、「海の駅 あやはり館」が第2チェックポイントでした。暗くて海の見えないくらい道路を、ただ5km行って帰ってくるだけ…なかなかの苦行です。
とはいえ、こちらのチェックポイントは14時間制限のところ、10時間41分で通過できました。3時間強の余裕が持てたので、まさに予定通りです。92.5km地点ということで、ここからは少しずつペースが落ちるという見立て。1夜目は寝ずに走りたいので、ちょっと眠気を感じ始めたタイミングで高濃度カフェインサプリを飲んで進みました。お陰で目が覚め、そのまま走り続けて2日目の朝を迎えます。
2日目(11/25)|補給ゼロの区間へ突入
第2から第3チェックポイントの間は71kmと長く、うるま市から金武、宜野座村、そして辺野古を越えて東村へ。ここで気を付けなくてはいけないのが補給。辺野古を越えてしまうと、100kmほどコンビニなど補給できるお店がなくなるのです。水分不足やエネルギー切れを起こせば、たちまち走れなくなってしまうかもしれません。記憶として認識していた最後のコンビニが、「ローソン名護辺野古店」でした。ここは寄らなければ…と思っていたはず。なのに、知らない間にスルーしてしまうという凡ミス。本来ならこのまま、補給無しで進むことを求められます。そんな中、スルーしたことに気付かず走っている中、目の前にローソンが現れました。この瞬間、ここが名護辺野古店だと勘違い。しかし、こちらは名護辺野古店から8kmほど先にある名護瀬嵩店でした。どうやら、ここ最近に新しくオープンしていたようです。異なる店舗だと気付いたときは、正直ゾッとしました。眠気なのか疲れなのか、どうやら頭が少しずつ働かなくなってきていたようです。
おにぎりと飲み物を購入し、食べながら先へ進みます。立ち止まって休みながら食事するのも良いですが、少しでも時間を有効活用して進みたいですし、しっかり休むと動き出しが悪くなることを懸念しました。あとは、なんとなく制限時間などに対する焦りがあったのかもしれません。そして、166.5km地点にある第3チェックポイント「サンライズひがし」に到着したのは2日目の午前中。24時間半の制限時間を21時間51分で到着しました。やはり、すでに序盤で造った貯金を切り崩し始めています。
ここからは、激しいアップダウンが続くエリアに入ります。もちろん周囲にお店などはなく、夜になれば街灯すらない真っ暗な道。しかし、だいぶ疲労が溜まっており、足のさまざまな筋肉が痛みます。特に前腿が悲鳴を上げており、急な坂道は走れば筋肉がちぎれるのではないかと思うほど。無理に走って後半動けなくなっては本末転倒なので、あくまで「最後まで動き続けられる」ことを念頭に置いてペースを作ります。この頃から、一緒に走っていた2人のランナーについていけなくなり、しかし合わせて待ってくれることを申し訳なく感じ始めました。「先に行ってください」と伝えても、せっかくだからという反応。嬉しい一方、少し気持ちの面でプレッシャーになります。
何度も繰り返すアップダウン。どれだけ登って下るのか、身体だけでなく精神的にも疲労します。58ランで折り返し地点だった奥に到着することには、真っ暗闇になっていました。すでに下り坂は走ることができず歩きがメイン。その間は一人旅になるのですが、途中で女性ランナーに追いつかれ、会話できたので少し元気が出ました。“人と話す”って、気持ちを保つうえでとても大切です。
224.5km地点にある第4チェックポイント・辺戸岬には32時間20分で到着。34時間制限でしたので、貯金は1時間40分に減りました。とはいえ、最後の36kmはすべて歩いても余裕なペース設定になっているので、まだ1時間以上あれば問題ありません。だいぶ足の痛みと疲れも重くなってきていたため、少し時間を取ってストレッチ&マッサージ。ご提供いただいた豚骨ラーメンが染み入りました。
辺戸岬を出てしばらくすると、自然と一緒に走っていたランナーと別れます。単純についていけなかっただけですが、待たずに進んでくれたので、寂しい気持ちはありつつ少し安心した自分がいました。後ろにも前にもランナーの姿はなくなり、完全なる一人旅となった2回目のオーバーナイトラン。たまに雨が降るので、持っていたシェルウェアを着たり脱いだりしながら体温調整。本大会中、昼間は暖かい(太陽が出ると暑い)のですが、夜は涼しくて雨風があると冷えるほどでした。歩いたり走ったり、時計を気にしつつも前だけを向いて進み続けますが、このまま順調に…というわけにはいきませんでした。
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